
歯の神経を取る前に、もう一度考えてみませんか?
― 歯髄保存療法(VPT)―
「むし歯が神経まで達しているので、神経を取る必要があります。」
歯科医院でそのように説明を受け、不安な気持ちになったことはありませんか?
以前は、神経の近くまで進行したむし歯は、神経を取ることが一般的でした。しかし近年、歯科医療の進歩により、適切な診査・診断を行うことで、神経を残せる可能性が広がってきました。
それが歯髄保存療法(Vital Pulp Therapy:VPT)です。
神経は、歯の「命」を支える大切な組織です。
歯の神経(歯髄)は、痛みを感じるためだけの組織ではありません。
歯に栄養を送り、細菌から身を守り、歯の健康を維持する大切な役割を担っています。
神経を残すことができれば、歯は本来の機能を保ちやすくなり、将来的な破折や再治療のリスクを減らせる可能性があります。
だから私たちは、「神経を取る」ことを前提に考えるのではなく、「神経を残せる可能性はないか」を大切にしています。

歯髄保存療法(VPT)とは
歯髄保存療法とは、炎症を起こした歯髄(歯の中の神経)の状態を慎重に見極め、健康な歯髄をできる限り残すことを目的とした治療です。現在では、生体親和性に優れた歯髄保護材料の開発や診断技術の進歩により、以前よりも適応できる症例が増えています。
ただし、歯髄を残せるかどうかは、「むし歯の大きさ」だけでは決まりません。
炎症の程度や細菌感染の広がり、歯髄の状態などを総合的に判断することが大切です。


丸森歯科医院が大切にしていること
私たちは、「神経を残すこと」そのものを目的にはしていません。
本当に大切なのは、その歯が10年後、20年後も健康に機能し続けることです。
そのために、
・十分な問診と診査
・歯科用CTを用いた精密な診断
・拡大視野での丁寧な処置
を大切にしています。
歯髄を残すことが患者さんにとって最善であると判断した場合には、歯髄保存療法をご提案します。
一方で、炎症が広がっている場合には、無理に歯髄を残すことはかえって歯の寿命を縮めてしまうこともあります。
だからこそ、私たちは一人ひとりの歯の状態を丁寧に診断し、その歯にとって最も良い方法を患者さんと一緒に考えます。
歯髄を残せるかどうか、一度ご相談ください。
「神経を取ると言われたけれど、本当に他の方法はないのだろうか。」
そんな疑問をお持ちの方は、どうぞ一度ご相談ください。
参考症例-Direct Pulp Cap

40代男性:奥歯がしみる
右上奥から2番目の歯に大きい虫歯ができてしまいました。

Direct Pulp Cap
Direct Pulp Cap:直接覆髄
虫歯を除去すると、一部分ですが歯髄が露出しました。
顕微鏡で露出した歯髄を確認すると、再生可能な状態と判断し、歯髄保存療法(Vital Pulp Therapy:VPT)を行いました。


約1年後。通常のX線写真では歯根の状態が確認しにくかったためCTで歯髄の状態を確認したり、正常な歯髄の反応を認めたため、セラミックの被せ物に移行しました。経過良好です。
参考症例-Cvek (Partial) Pulpotomy

60代女性:定期検診時の虫歯(自覚症状なし)
金属の詰め物の下に大きい虫歯ができてしまいました。

Partial Pulpotomy-2
Cvek (Partial) Pulpotomy:部分断髄
虫歯を除去すると、歯髄が露出しました。
顕微鏡で露出した歯髄を確認すると、再生可能な状態と判断し、歯髄保存療法(Vital Pulp Therapy:VPT)を行いました。



術直後、3ヶ月後にX線写真で歯髄の状態を確認し、経過良好のため、セラミックインレーをセットしました。
参考症例-Cvek (Partial) Pulpotomy


60代女性:定期検診時の虫歯(自覚症状なし)
親知らず(智歯)が原因で大きい虫歯になってしましました。

Cvek (Partial) Pulpotomy
Cvek (Partial) Pulpotomy:部分断髄
虫歯を除去すると、歯髄が露出しました。
顕微鏡で露出した歯髄を確認すると、再生可能な状態と判断し、歯髄保存療法(Vital Pulp Therapy:VPT)を行いました。



定期的にX線写真で歯髄の状態を確認し、経過良好のため、8ヶ月後にセラミックをセットしました。
5年経過良好です。
