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歯の自家歯牙移植(じかしがいしょく)について

 歯を残すことが難しく、抜歯が必要になった場合、その後の治療としては「ブリッジ」「インプラント」「取り外し式の入れ歯」が一般的です。

 しかし、それらに加えて、ご自身の歯を利用して失った歯を補う「自家歯牙移植:autotransplantation」という治療方法があります。

 

 自家歯牙移植とは、普段は噛むことに使っていない親知らず(智歯)や、あごの骨の中に埋まっている歯を、抜歯した部分へ移植する治療方法です。

 

 自分自身の歯を使うため、体になじみやすく、歯の周囲にある「歯根膜(しこんまく)」という組織を生かすことができます。そのため、自然に噛む感覚が得られやすく、あごの骨がやせにくいという大きなメリットがあります。

破折線の種類
木目テクスチャ

このような方におすすめです

  • 親知らずが残っている方

  • できるだけご自身の歯で噛み続けたい方

  • インプラント以外の治療法も検討したい方

  • 比較的若い方や骨の状態が良好な方

※実際に適応となるかどうかは、お口の状態や移植する歯の形・位置などを詳しく調べて判断します。

木目テクスチャ

自家歯牙移植のメリット

  • ご自身の歯を使うため、自然な噛み心地が得られます。

  • 歯根膜が残ることで、噛んだ感覚を感じやすくなります。

  • あごの骨がやせにくく、骨の健康を維持しやすくなります。

  • 周囲の健康な歯を削らずに治療できる場合があります。

  • 成功すれば長期間にわたりご自身の歯として機能することが期待できます。

大理石の表面

知っておいていただきたいこと

自家歯牙移植は非常に優れた治療方法ですが、すべての患者さんに適応できるわけではありません。

移植に適した歯があることや、歯ぐきや骨の状態など、いくつかの条件を満たす必要があります。

 

また、治療結果は、正確な診断と丁寧な手術、そして治療後の適切な管理によって大きく左右されます。そのた

め、高い技術と経験を持つ歯科医院で治療を受けることが大切です。

 

近年では治療成績も向上しており、2026年に発表されたシステマティックレビュー・メタアナリシスでは、8年以上経過した症例でも約85%の歯が機能していたことが報告されています。

 

当院では、自家歯牙移植を「できるだけご自身の歯を残し、生かすための大切な治療法の一つ」と考えています。十分な診査・診断を行い、患者さん一人ひとりにとって最適な治療方法をご提案いたします。

色あせた紙やすり

治療の流れ

① 診査・診断

お口の中の状態を診察し、X線写真や歯科用CTを用いて、移植が可能かどうかを詳しく調べます。治療方法やメリット・デメリットについても丁寧にご説明し、ご納得いただいたうえで治療を進めます。

 

② 治療前の準備

移植を成功させるために、お口の環境を整えます。必要に応じてクリーニングや歯周病、虫歯の治療を行い、移植する歯の状態も詳しく確認します。

 

③ 自家歯牙移植

残すことが難しい歯を抜歯し、親知らずなどの移植する歯を歯根膜を傷つけないよう丁寧に取り出します。その後、移植する場所を整え、できるだけ負担をかけないよう慎重に移植します。

④ 根管治療(歯の神経の治療)

多くの場合、神経の治療(根管治療)が必要になります。当院では歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用し、歯をできるだけ削らず、精密な治療を行っています。

 

⑤ 経過観察

移植した歯がしっかり定着しているかを、定期的な診察やX線写真で確認します。

噛み合わせや歯ぐき、骨の状態も継続してチェックし、長く快適に使っていただけるよう管理します。

 

⑥ 被せ物の装着

移植した歯が十分に安定したことを確認した後、セラミックなどの被せ物を装着します。

見た目だけでなく、しっかり噛めることも大切にしながら、長く使っていただける歯へと仕上げます。

参考症例-1

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​20代男性:奥歯が欠けて噛めない

奥歯が虫歯で欠けてしまい、ボロボロの状態でした(赤矢印)。歯根にも虫歯が進行し、予後不良と判断しました。

​奥の方に埋伏している智歯があるため(青矢印)、自家歯牙移植を行うことになりました。

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自家歯牙移植の準備を行い、保存不可能な歯の抜歯、智歯の抜歯、移植を同日に行いました。

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移植後、根管治療を行いました。咬合状態が安定していたため、被せ物は行わず、レジン充填で治療終了。

​3年後の状態。周囲の骨も再生し、経過良好です。

雪

参考症例-2

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​60代女性:奥歯が腫れて噛めない

右下奥歯が歯根破折になってしまい(赤矢印)治療を行なっても、予後不良と判断しました。

​奥の方に埋伏している智歯があるため(青矢印)、自家歯牙移植を行うことになりました。

​術前にCTを撮影し、歯根破折歯、智歯の状態を精査しています。

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autotransplantation

autotransplantation

自家歯牙移植を行い、安定後、根管治療を行いました。

​根管治療は歯を大きく切削しないように注意しながら進めました。

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約1年の経過観察を行い、最終的なセラミックスの被せ物をセットしました。経過良好です。

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